コース4:定量解析
【概要】
Skyline はワシントン大学 Mac Coss Lab. で研究用に開発された無料のソフトウエアです。このソフトウエアは、もともとはSRM/MRM のメソッド作成と解析を目的としていましたが、現在はMS1 のイオンクロマトグラム解析、DIAデータをもとにしMS2 のイオンクロマトグラム解析にも対応しており、世界中の多くの研究者が利用しています。しかしその一方で、多機能なソフトウエアであるがために、非常に多くのパラメターがあり、その各パラメターやSkyline の構成を聞いても目的の解析が出来るようになるためにはさらに多くの時間を要します。そこで本コースでは、Skylineを用いて下記の2種類のうちの一方を、実データを用いてご自身で解析していただきます。Skylineの未経験者、初心者、使用を試みたが思うように活用できなかった方を対象とします。 (Skyline: https://skyline.ms/project/home/software/Skyline/begin.view)
(1) target定量解析:MRM/SRM解析のための測定メソッドの作成、測定データの解析
(2) non-target定量解析:高分解能 MSデータを用いたMS1を対象としたイオンクロマトグラムの比較解析
※ 参加申し込み時に上記(1), (2) のどちらか一方をお選びください。
【内容】
(1) target定量解析: MRM/SRM解析のための測定メソッドの作成、測定データの解析
- Skyline のインストール(必要に応じて)
- DDAの同定解析結果をもとに、ターゲットタンパク質に対するSRM解析の測定メソッドを作成します
- SRM測定により得られたクロマトグラムデータの処理を行い、ターゲットタンパク質の比較解析を行います
(2) non-target定量解析:高分解能 MSデータを用いたMS1を対象としたイオンクロマトグラムの比較解析
(DDAで同定されたペプチドを MS1のイオンクロマトグラムで比較解析します)
- Skylineのインストール(必要に応じて)
- 2試料(複数試料)のDDAデータとその同定解析結果をもとに、同定されたペプチドのMS1のイオンクロマトグラムを2試料間(複数試料間)で比較解析します
- 同じグラジエントで取得したDDAデータとその同定解析結果をライブラリとして使用し、より網羅性の高いMS1のイオンクロマトグラムの比較解析を行います(MS1 のDIA解析に対応)
- ジメチル化標識試料を対象とした高精度比較解析(希望者対象)
【事前に各自ご準備いただきたいこと】
- なし
【注記】
- Skylineは Windows でのみ使用可能です。したがって、Windows が動作可能なノート PC(Intel CORE i5 程度以上のPC)をご用意ください。
- 練習用データやSkylineはUSB 経由で配布します。
- 講習ではSkylineの最新のバージョン(開催時)を使用予定です。
【担当】
(Target解析)
医薬基盤・健康・栄養研究所 プロテオームリサーチプロジェクト 鳴海 良平
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 渡邊 史生
(Non-target解析)
北里大学理学部附属疾患プロテオミクスセンター 小寺 義男
《アシスタント》
北里大学理学部物理学科・小寺グループ大学院生 中川 譲,角田 貴樹,伊藤 大晃